THE DIVERを見てきた。


The Diver
By Hideki Noda&Colin Teevan
@Soho Theatre


今日、プレスナイトで、残念ながら見に行くことはできなかったのですが、
とりあえずはプレヴューを見た感想。
以下、主に20日の公演を見たあとに書いたものです。

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まだプレヴューなので、これが完成品だと言うわけではないのだけど、
そしてまた来週か再来週に見に行くつもりなのだけど、
とにかく見てきました。


すごいよ、野田さん、やっぱずっと進み続けてる。


パブリシティにも出てる範囲で説明すると、
殺人を犯した女性の精神鑑定をしていくうちに、
源氏物語を通じて女性の物語が語られるのだけど、
表現のうちに能の精神を貫かせている
といった感じでやっていました。


話は葵上を呪い殺す六条御息所が核になっているけれど、
それを彩るなんだかドロッとした人間の情というものがあって、
嫉妬だとか、子どもであるとか、
ちょっと、この芝居を見た後の恋人たちが夜ケンカをするんじゃないかと、心配になりました。


案の定、終わったあとの後ろの席ではカップルがお互いの愛を確認してました。


きっとイギリスのメディアは、能の精神をここまで現代に引っ張ってくることのできたあたりを褒めるんじゃないかと思います。
あるいは、これが演劇におけるInterdisciplineだとか、Inter-culturalism だとか言うかもしれない。
どこまでイギリスの批評家が能や源氏物語を知っているかはともかくとして、
700年ちかくやってきた能をについて褒めることは間違いないと思う。
問題はそこから現代の殺人と結びつけた野田さんの発想とがうまく絡んでいる、
いや、絡みすぎていることで境界がぼやけた瞬間を、こっちの人は良しとするかどうか。


こはちょっと意見の分かれ目だなあと思います。
僕はぼやけていたからこそ、絡まることができたんだと思っていて。


Interdisciplinaryとよく言われているんですけれど、
かつてそれをやろうとして、
結局成功しているのはCompliciteで、
映像とフィジカルシアターとストレートな芝居と混ぜたけれど、
他の人らはこれまで、なかなかうまいことができないでいた。
そこを野田さんはついに現代劇と伝統芸能を組み合わせた瞬間を、
日本語ではなく英語で見せたのだけど、
これをイギリスの人は「こんちくしょう、やりやがった!」ととると思うんです。
きっとロンドンの批評家たちは寛大ですから、ここはきちんと評価するだろうと思います。


また、世界でいちばん古い小説を扱っているけれど、それを知らないという人は多いはずで、
きちんとリサーチした上でプレスナイトのレビューを書いてくれたら、いいなあと思います。
源氏物語を知っている人には「なるほど、そう来るか」と思えるようなシーンの連続ですから。


あと、やっぱり
「このあと、大丈夫?一緒に、どうよ?」っていえるような人間になろうって、ホント思った。
やっぱり、言われたらすっごい嬉しいし、世界広がるもん。自信にもつながるし。
がんばろうって、おもった。いい夜でした。