ピカソ美術館は行くのに疲れる。
あまりいい思い出がありませんが、ピカソが好きな人はどうぞ。
青の時代の自画像や彫刻でいっぱいです。
マレの路地につかまる。
とりあえず、ピカソ美術館の場所を。マレ地区の真ん中あたりに位置します。
ポンピドゥーセンターから東にちょっと行って、北に上ればあるんですけど、
あなどるなかれ、僕はこの地図のために一時間マレ地区をさまようことになりました。
まずね、この赤いところ、公園です。美術館じゃないです。
ピカソ美術館の入り口はその隣の白いところにあるんです。
もう、なんだ、この地図。
でさらに、大きな道には思い出したかのように、美術館への矢印が貼ってあるんですけれど、そのすべてに従っていくと、たどり着けません。
マレ地区の十字路は角が取れていて、基本的に標識は面取りした壁に貼り付けてあるんです。
で、これだと矢印はその、ものすごく曖昧になるんですね。
東西南北に行く道なのに、北東を指している、みたいなことになるんです。
で、さらにガイドマップには把握できないほどの路地が張り巡らされていて、そのすべてがゆがんでグネグネしているので、五叉路とか平気で出てきます。
京都で過ごした人にとって五叉路はいけません。常に頭は碁盤の目ですから。
なんとかたどり着くもピカソの迷宮へ。
美術館の中もかなりの迷宮です。
中二階や半地下などトリッキーな階層構造。
狭い廊下でつながるたくさんの部屋。
全然すっきりしないところに急に現れる中庭。
ホントここにいるだけでも疲れました。タダでさえマレ地区の路地で迷ったのに。
目当ての絵があまりなかったのもちょっと残念でした。
見つけたのは青の時代のピカソの自画像。
これでだいぶ救われた気分になります。
そのあと、後期のピカソの大きな絵があって、三人の女性が散髪を楽しんでいる絵なんだけど、
この絵の前にやっとベンチがあったので座っていたら、ぞろぞろと高校生を連れたガイドさんがなにやら絵の説明をしていました。
パリの美術館にはこういうガイドが必ずといっていいほどあって、
色々教えてくれるのだけど、なんせフラ語なので、わけもわからず、
しかも集まってくる人は僕の顔を見て「あ、アジアだ」みたいな顔するのでイヤになりました。
でも、面白かったのは、ピカソの顔を見ているとふと目に入った西洋人(たぶんラテン系)の顔が
あの、分裂した離れ眼のキュビズムピカソ風に見えたのでつい二度見をしてしまいました。
え、え??みたいな。
ピカソの画力はそういう意味では顔の本質を捉えているのかもしれません。
高い鼻、離れ気味のでかい眼、でかい口など、本当にそういう人がいたんだなと思わせるのでした。
ひと休みは裏の公園の角のカフェで。
美術館内ではまったく休めなかったので、どこか休める場所を探していました。
どうも排他的な空気の流れている場所で、
英語を使ったとたんにケツ蹴られて追い出されそうな場所です。
観光地なんかじゃまったくないです。そこがいいんだろうなー、マレ地区は。
そういうわけでどこも排他的だったので、一番排他的なカフェに行ってみました。
入ったとたん、目の前に僕をじっと見つめるおじさんがいて、店主かと思い「ぼんじゅー」といったところ余計に変な目で見られました。
お客さんだったようです。
仕方ないので自分で席に座っておばちゃんが来るのを待って、
「ぷーまんじぇー、しるぶぷれ」というと、おばちゃんが
「ケスクブマンジェ?」とすごくやさしい(易/優)フランス語で話してくれました。
いや、やさしかったのはおばちゃんだけでしたけど。
ひと目で「お前はフラ語はできない!」といわれているようで、もう、困った顔をするしかありませんでした。
おばちゃんは大変にいい人で、
「隣の人と同じにする??」といってくれて、「うぃうぃ!」とうなずくしかありませんでした。
出てきたのは鴨のグリルとフレンチフライ。
それと、外皮の硬いバゲット。めちゃくちゃうまかったです。
鴨の骨離れったらすばらしいし、バゲットはやっぱり歯の間に挟まってしんどかったけど、でもやっぱりおいしかった。
鴨おいしいじゃん!ってなって、ついでにカフェオレを頼みました。
「せ・とれとれ・びあん!」と言ったのだけど、
皿を下げるおじさんは「トレビアン?」といってムスッとしてました。
わからん。フランス語をがんばるこの姿勢を評価して欲しいものです。
おいしかったのでどうぞ。店の名前は覚えてませんが、ピカソ美術館の裏の公園の角にあります。
*1:2006年の夏上野の科学博物館でやってた