オーストラリア人捕虜に本当にあったこと。

Honour Bound
by Sydney Opera House and Malthouse Theatre
@ Barbican Theater
Choreography Garry Stewart 

キンダイシュラン<★★★★☆>


かわってものすごくシリアスな現代ダンスの公演でした。
オーストラリア人の兵士がテロリストとのつながりを疑われて
アメリカ兵に捕まって、さらに拷問をうけて、虐待も受けて、
人間の基本的人権をめちゃくちゃにされるという、もう、とんでもなくシリアスなものでした。

途中、ワイヤでつるされて壁を垂直に歩いていって、
その壁には捕虜の人権保護をうたった条約やら規則やらがスターウォーズの最初みたいに流れていく映像が映ってて、
その条文の上をなんとか歩いていくイメージがもう鮮烈でした。
ときどきその条文がひっくり返るのだけど、なんとかそこに捕まろうとしてぶら下がるダンサーの姿が痛々しくてたまりませんでした。


ほかにも、6メートルも上のほうから一気に落ちてくる人間が、ぶら下がっているロープを手にして、なんとか床に激突せずにギリギリで止まるっていうのを4回ほど繰り返すんですが、
そのロープを登っていくんだけど、頂点までいくと落ちる。
この登り方がまたひどく痛々しくて。
ロープを腕に絡ませて、からだじゅうにロープを巻いていくことでどんどん上っていくんだけど、力を抜いたとたんに身体は急激に逆周りに回転してロープはほどけて、グルグルと回転しながら床に落ちていくんです。


もうやだ、あれはもう、ほんとやだ。

見て損はないです。
見てガッカリはないです。
見てどんよりするかもしれないけれど。

この振付師、とんでもないです。肉体の限界を目指すぜって感じがします。