ミケランジェロのダヴィデ作り


The Giant

by Antony Sher
at Hampstead Theatre
Director Gregory Doran
Designer William Dudley
Lighting Designer Oliver Fenwick
Composer Paul Englishby
Sound Designer Matt McKenzie for Autograph
Movement Anna Morrissey


キンダイシュラン<★★★☆☆>


華やかなるフィレンツェ、誉れ高きダ・ヴィンチと若きミケランジェロの邂逅。
そしてダヴィデ像の競作。
ミケランジェロのもとに現れた石切工のヴィトという青年。
青年ヴィトに出会う二人の芸術家は彼の肉体によってその才能を刺激される。

いい話でした。


芸術的な話で、フィレンツェで、ダ・ヴィンチの話だから、ホモ話一杯になるのかなあと思ったのだけど、まあ、もちろんすぐにフリチンになるんだけど、そこで恥ずかしさもなく、「このマラを見よ」てな具合で大変におおっぴら。
なにより、ダヴィデのモデルになる石切工のヴィトの身体がすごくきれい。お尻ぷりっぷり。傷一つない滑らかな肌。付きすぎない引き締まった筋肉。何より立派な一物を持ってらっしゃる。
すごいよ、あんな、200人に一斉に見せて、ちぢこまることなくぶらりと抜き出す彼の精神力。あれは、こう、やっぱり楽屋は暖かくしてるんだろうなあ。寒かったらちっちゃくなっちゃうもの。


彼のおてぃてぃんと、も一つよかったのが、舞台美術。
舞台に横たわる巨大な石をクレーンで持ち上げて、回転する作業台に載せるまでのゆっくりとした動きの迫力と言ったらすごかったです。大きい物が動くのって、やっぱり見ていて気持ちいいです。さらに、その石が作業台についているカーテンの裏側で音もなくどんどんとダヴィデになっていきます。あの舞台転換はいったいどうなっているんだろうと、不思議でたまらんです。


登場人物が魅力的。
ミケランジェロダ・ヴィンチマキァヴェッリフィレンツェの市長などなど。
こういう芝居がやっぱり面白いよなあとおもいました。歴史ものっていうか、裏側の話。すきだなあ。ちょっと嘘の入った感じ。
ダ・ヴィンチダヴィデ像を見て、代わりに製作途中のモナリザミケランジェロに見せるシーンなんか、ちょっといろんなものがガチッとくる感じがしました。


特にカタルシスのようなものはないのだけれど、しっかりとしたいい話です。ヒットはしないだろうけれど、あとからルネサンスの芝居を書こうと思ったら必ず比較対象になる作品だと思います。


そういえば、これがロンドンで見る初めての新作でした。
これまでの芝居は全部再演でしたから。
12月の1日に千秋楽。もう、12月になりますね。