新作ミュージカルMargueriteを見てきた

Marguerite
music: Michael Legrand
book: Alain Boublil and Claude-Michel Schonberg
lyrics: Herbert Kretzmer
Director: Jonathan Kent

Cast
Ruthie Henshall
Julian Ovenden
Alexander Hanson
Annalene Beechey
and more

@ Royal Haymarket Theatre

キンダイシュラン《★★★☆☆》

オフィシャルウェブサイトはこちら
http://www.marguerite-themusical.com/


音楽は「ロシュフォールの恋人」や「シェルブールの雨傘」のミッシェル・ルグラン
演出のジョナサン・ケントは日本でも知っている人はいるかも。
脚本はミスサイゴンレ・ミゼラブルのチームです。
フランスではルグランと舞台版「ロシュフォールの恋人」を手がけたとか。
ま、そういうチームの作った、ミュージカルを見てきました。

舞台は第二次大戦、占領下のパリ。
パリジェンヌのマルグリットはドイツ軍将校の妻であったが、
誕生日のパーティで自分の年齢の半分になるくらいの若いピアニストに唇を奪われ、
恋に落ちます。
嫉妬に燃えるドイツ軍将校・オットー。
恋に落ちたがために堕落していくピアニストのアルマン。
そしてアルマンの仲間たちも反ユダヤ人政策の犠牲になっていきます。
「椿姫」をベースにした悲劇ミュージカルです。


なんつーか、とてもヨーロッパの匂いのするミュージカルでした。
音楽をもっと期待していたんだけど、なんだか英語のもったりした感じとちょっと合わなかったのか、
ミッシェル・ルグランの持つ軽い感じはやはりフランス語でないと生きないのかも知れないと思いました。
というか、思い出したのはウィーンで見た「Rebecca」。構成が全く同じでした。
最初のシーンは、最後のシーンになるとか。そのとき灰色の服を着た人たちがズンズンとコーラスするとか。
Rebeccaモーツアルト!やエリザベートを作ったチームのものなので、ちょっと違うんですけど、
音楽がそっくり。


ちなみにレベッカは★五つでした。
ドイツ語なのに起こってることが全部わかって、泣けるっていうのはすごかった。
しかもサスペンスでどんでん返しだったし。それもわくわくして見れたし。
なんであんなに分かったんだろうと、今でも不思議です。



で、このマルグリットはサスペンスもなければわくわくもない、
ただただ突っ走る自己破滅型ファムファタルです。
途中、恋に落ちたピアニストが堕落して、仲間たちにものっすごい迷惑かけるんだけど、
結局戦争が終わったら、ドイツ軍はいなくなるし、堕落したままでもなんとか生きていける身分で、
そのぶん、ドイツ将校とデキてたマルグリットの悲劇がグッと押し出されることになるのだけど。


実際のところ、
マルグリットよりも良かったのは、ピアニストの姉とバンド仲間たちのほうでした。
姉はスパイ容疑で逮捕されたり、その恋人がユダヤ人だったり、で戦時中のパリの風景を説明してくれるし、
なにしろ歌がうまかった。序盤で姉役のAnnalene Beecheyが浮かれたジャズを歌うのだけど、
すっごいぴったしの声質で。
調べたらWickedのグリンダをやってたらしいです。なるほどっていう感じ。


主役のマルグリットを演じたRuthie Henshallという人はオリヴィエ賞をとったひとで、
大変に実力のある女優さんなのだけど、
ホントに40代にして20代の青年と恋に落ちる大人の女性ってところをばっちりと演じてて、
怖かったです。
フランスの女性って、たしかに30〜40代がきれいだもんなあと思いました。



あと、
ホリプロと梅田アートシアターがこのミュージカルにプロデュースとして携わっていました。
たぶん、翻訳してそのうち日本でもやるんじゃないでしょうか。
誰がやるのかな。色気のある3,40代の唄と演技のうまい日本の女性…
やっぱり宝塚を出た人がやるのかな。黒木瞳さんなんかいいんじゃないかな。
相手のピアニストは誰かな。中川晃教はちょっと線が細すぎるし、もうちょっとワイルドでおバカな向こう見ずな青年。ジャニーズ系の人じゃないなあ。
てなことを考えるのが面白かったです。
東宝ミュージカルでやるのかな。ミスサイゴンレ・ミゼラブルと同じような感じで。
がんばってほしいです。


僕は英語版は★三つでしたけど、たぶんフランス語版だったら★4つくらいあげてるんじゃないかな。
そういう、ちょっと大人のミュージカルです。