Brief Encounterを見てきた。

Noel Coward's Brief Encounter
by Noel Coward
Directed by Kneehigh Theatre and Emma Rice
at The Cinema Haymarket
http://www.seebriefencounter.com/

キンダイシュラン《★★★★☆》


エマ・ライスとニーハイ・シアター、やっぱ好きです。
京都の人ならきっとみればユリイカ百貨店を思い出すと思う。
もともと劇場だったところが映画館になり、それを復興させても一回劇場にしてしまった公演。
客席に入ったときから、舞台中、インターミッション、帰りまでずっとわくわくできる劇場。
ブリーフエンカウンターは、そういうお芝居です。
客入れ中からコントラバスバンジョー2つ、トランペットの4人が古い映画館/駅員の格好をして軽快なジャズを演奏。
やがて彼らは舞台に近づき、演奏を終わらせると舞台の幕が上がって映画のスクリーンに
白黒の映倫のクレジットに続いてニーハイシアターのロゴがまるで20世紀FOXのような音楽に乗って映し出されると、スクリーン両端から懐中電灯でサーチライトの代わり。

最前列に座っていた恋人らしき二人が急に席を立って、
劇場の階段を先にいく真っ赤なコートを着た女性を
薄い茶色のトレンチコートの男性が呼びとめます。
君を、愛していた。と。
スクリーンにはどこかの居間のような映像が流れているけれど、
そこに一人の男性がやってきて、「帰ってきておくれ」と女性に声をかけると、
よろめくように客席を降りていく赤いコートの金髪の女性。
何も言えずにたたずむトレンチコート、
女性がスクリーンに飛び込んだとたん、映像の中に彼女が登場して、
「よく帰ってきてくれたね」といって元の夫婦であったふたりはフレームから外れます。
そこへかかるライブのゆったりとしたもの悲しいトランペットとバンジョーの響き。
蒸気機関車の汽笛と轟音と共にスクリーンや幕が開くとそこは簡素なカフェ。


つかの間の逢引のはじまる場所へといざなってくれます。


やっぱりニーハイシアターはラプンツェルにしてもA Matter of life and Deathにしても映像の使い方がうまいし、
そのクオリティも高いし、
音楽がなによりメランコリックでジャジーで軽快でありながら少しのんびりとした雰囲気をたたえて、
俳優が演奏しているのか、演奏家が演技をしてるのか、
どっちにしても芸達者な役者さんばかりが終結していることに、あらためてうっとりとします。


相変わらず愛を確かめ合って嬉しくなったら空を飛ぶんだけど、
今回はシャンパンを飲んだ先のレストランでシャンデリアにつかまって
片手にばらの花、もう片手にシャンデリアっていうので抱き合って手をつないで飛び回ります。


やっぱり、見てて気持ちいい。幸せになれる演劇です。

ただ、それも空を飛んで頂点に達したとたん後は転げ落ちていきます。


だって、もともとが不倫の話しだし、男性のほうも家を追い出されて遠いところにいく決意をするし、
ちょっとしたすれ違いから、まだ未練はあるものの、収まっていたところへ収まっていきます。


ラフマニノフにのせてキスをするシーンはすごかった。
やっとあの曲がすんなりくるシーンに出会えた感じがしました。


8月19日まで。ぜひぜひ。