落書き色町。

落書き色町(Red-light District Graffiti)
@Westbourn Studio
Directed by 平岡香純


僕の大事なともだち。めったに会わないけれど、
バチッと影響与えてくれる大事な友達の映画です。

それがだよ!!!!!!!
すっごく残念なことに、スクリーンに映ったのは、カラーじゃなかった!
でもすごいことに、白黒なのに、天然色が見えた!!!!!!!!!!!
なんてことだと、ホントびっくりした。
終わったあと、お客さんみんな白黒だとおもっていたのだけど、拍手が起きた。
スタッフのひとに「あれは、カラーであるべきなんだ!どういうことなんだ!」って文句言ったら、
映写室のおっさんが謝りながら、「そうなんだ、テクニカルな問題が起きて、プロジェクターの調子がすごく悪くて、カラーがでてこなくなっちゃったんだ」ですって。
日本のフィルムをイギリスのにコンバートするのに手間がかかるんだとかなんとか。
ふざけんなってんで、頭きたから、ちょっと言ったら、もう一回時間を見つけて上映するように言ってました。
僕のメアド教えて、今度上映する時にはちゃんとカラーでやるってことを教えてくれるってんで、約束してくれました。なので、もう一回観にいきます。


嬉しいことに、すでに「あの監督は誰だ!」ってんで何人か落書き色町を見たプロデューサーかディレクターがツバつけに来てるみたい。


いろいろ言ってみるもんだわ。
イギリスのインディペンデント系の映画祭、あるいはフリンジの演劇祭もそうだけど、
とっても柔軟な対応をしてくれるし、いい作品のためなら何でもしてくれる感じがしてとても嬉しい。
さすがにかすみちゃんのあの色がなにしろいいものを、白黒で上映しやがったってな、ホント許せないけれど、
文句つけてよかった。


でもほんと、白黒なのに、天然色が見えちゃうっていうのは、何でなんだろう。
かすみちゃんの色彩感覚をなんとなく知ってるからかな。
んー。


このかすみちゃんの映画は話には聞いていたのだけど、
もう大学にいるときからずっと作っている話を聞いてて、
で、次に作ってる秘密基地ロマンチシズムの話と僕はときどきごっちゃになってたけど、
変わらないのは、どこかノスタルジックで、赤と黄色とピンクと緑がすっごくきれいに混ざるとこで、
太陽の白と、空の青がスカッと、でもぎらぎらっといやらしくって。
そういうイメージを作ってただけに、
イギリスで見るかすみちゃんの映画は、特別な感じがしました。
面白かった。


この映画が上映されてるのは、ポートベロ・フィルム・フェスティバルなんだけど、
インディペンデントの映画が多く上映されてて、
ついでにいくつか見たけれど、どれもドキュメンタリーだったり、
ストーリーのしっかりした、演技もちゃんとやってる映画ばかりで、
詩的で、アヴァンギャルドで、ノスタルジックで、エロティックで、退廃的で、
画面からのエネルギーの量がとてつもなくて、
カットとカットの間に起こった事件について妄想させるような、
そういうのは、たぶん、そんなにないとおもうんだわ。


かすみちゃん、友達でホント良かった。
作るものは僕とかすみちゃんじゃ全然違うけれど、
これからも友達でいてほしいって、おもった。


で、再上映。

今日、こないだ見た かすみちゃんの映画の本気バージョンを見た。

こないだのは機械トラブルで白黒だったのだけど、
今回はちゃんとカラーだった。


予想どおり、きれいだった。
色の数が予想以上に多かった。
嬉しくなった。


見終わった後、
なんせ、急遽プログラムにはない映画の上映だったので、
今日の分のプログラムには名前が書いてないから、
映画のタイトルをスタッフに聞きなおしている人を見た。
にやっとした。

僕が映写室のおっちゃんに手を振って挨拶したら、すっごいにこやかに返してくれた。
嬉しかった。

スタッフの人にサンキューって言ったら、
「この映画きれいでしょ、この映画が欲しいのよ」って言ってきたから、
「すごい気にいってくれて、嬉しいよ。これ、僕の友達が監督なんだよ」って言ってみた
「あ、そうなの?今ロンドンに彼はいるの?連絡先とか分かる?」って言うから、
「ううん、彼女は今日本なんだよ。僕は今日これを見に来ただけなんだ」
「あ、そう。でもきっとスタッフに聞けば分かるわね。ホントに、きれいだし。」って。
嬉しくなった。


帰り道、同じスクリーンで見てた女の子と目が合って、
その子に日本人かどうか聞かれて、
そうだと答えたら、あの汽車の時の台詞、なんだったの??って言うから、
「がったんこー?がったんしょー?」って言ったら、
そうそう、それそれ、「ガッタンチョ!」って言うから、
そうそう、ガッタンショーだよ。ってなって、しばらく盛り上がった。
これ意味あるの?って聞いてきたから、
オノマトペだよって言ったら
「キャー!そうなのね、あたしマンガで育ったから分かるわ」だって。
もうしばらくガッタンショーで遊びながら、最寄の駅まで歩いてました。
遊び終わったら、映画の感想話し始めたから、フンフンって聞いてた。
「リアルとシュールレアルの混ざったもので、テーマはすごく重いのよ、だって売春でしょう。で、Depressing(抑圧的?ガッカリ?憂鬱?)なの。これはいい意味でいってるのよ。Depressing なものは大好きだし。しかも監督は外部からやってきてそれを撮ってるんじゃなくて、内側から売春をえがいてるの。それってとてもリアル。すごい表現力だわ」
だって。
嬉しかった。



さっき、かすみちゃんにメール送ってたら、
なんか、すっごく、泣きたくなった。


命けずってかすみちゃんは映画作ってて、
それがもう、なんか、全然違う形で、私小説とかじゃなくて、独白じゃなくて、
ちゃんと映画になってた。
なんか、それってすげえと思う。

今の自分の作ってるモノを考えて、
まだまだだって、思った。あと一週間で本番だけど、これは負けてらんないって、思った。
なんか、そう思ったら、たぶん泣けたんだと思う。

いいものつくろう。
いいものつくろう。

見終わった後のお客さんがニコニコしてる、
帰り道でもそれで遊べる、
そういうもの、作ろう。
そうおもいます