ヘンゼルとグレーテルを見てきた。

Hansel and Gretel
by Engelbert Humperdink
@Royal Opera House


キンダイシュラン《★★☆☆☆》


曲はよかった。
舞台装置って大事だなあって思った。

ロイヤルのくるみ割りの舞台装置はすごくよくできていて、感動もので、
オペラのときも大体正統派のいいものを作るんだけど、
今回は予算が少なかったのか、凝りすぎたのか、なんか変な遠近法を使いすぎた装置でした。

たぶん深い森の奥行きを出したかったのだろうけれど、なんしろ書割の森とその奥も書割で、
なんというか、それだったら歌舞伎でよくある平安神宮の舞台ようにやればいいのに、などと思ってしまいました。
妙に狭くて、ぜんぜんダイナミックじゃない。
曲はとてもロマンチックで、ガンガン盛り上げてくれているのに、
その曲をもてあましちゃうくらいに舞台が貧相だった。
オペラっていうのはもうちょっと舞台にお金かけるべきものだと思う。
少なくとも、森のシーンだけでも狭く深くするんじゃなくて、広く深くするべきだと思う。

プッチーニのリアリスティックな演目(ラ・ボエームとかマダムバタフライとか)をするならまだしも、
ヘンゼルとグレーテルのメルヘンなかんじはシンプルにすると、貧相に見えちゃうんだと思う。

あと、最後いっぱい子供たちが出てくるのだけど、彼らの声がぜんぜん弱くて、ぜんぜん解決したような感じがなくて、すかされた気がした。
最後魔女の焼けたのをみんなでガツガツ食べるっていう最高に無邪気なカンニバルで終わりっていうのは面白いんだから、
もうちょっと陽気でもよかったのだと思う。
なんだかみんな緊張しちゃって、
「どう動いていいかわかんないので振り付けの先生がいってくれたようにやってます」
みたいな子供しかいなかった。

んー。
変にモダンにするよりは、正統派でやるのがいいんだと思う。
ロイヤルだって、きっと王道で守るほうが得意だと思うし。
サロメとか、ドン・ジョバンニとか、サイモン・ボッカネグラとか、よかったもん。
重厚な舞台をロイヤルには期待します。
軽いのはイングリッシュ・ナショナル・オペラに任せてさ。

ざんねん。
音楽はよかったよ。オケもよかった。だから、音楽はよかったの。なので、★は2つ。