世界の最先端(なんてないんだけど)は東洋にあり。


イギリスという、ユーラシア大陸の片隅の小さな島国で、ちょっと考えました。
なので、日本というユーラシア大陸の一番端にある、若干大きな島国の皆さんもぜひ考えてみてください。


かつて、メソポタミア、インダス、長江、黄河など、大陸の各地で生まれたユーラシア大陸中央部の文明の間で交易が盛んに行われるなか、その周辺の地域はいわばおこぼれのような知識の塊を大量に取り入れていきました。
ギリシャ哲学、孔子儒教、仏教、キリスト教イスラム教の発達を通じて、またそれに伴う科学の発達は一様に世界全体を底上げしていったように思われます。多発的に発生した文明にこれといった差がないように見えるのは、それぞれの文明間に盛んな交流があったからなのではないかと思います。
この頃を第1次グローバリゼーションと言ってもいいかもしれません。


やがて高度な科学をもてあました西ヨーロッパの人々はこの均衡を崩していきます。
それが大航海時代の始まりともいえるでしょう。彼らはいままで世界を保ってきたルールを破って、世界に繰り出します。
「言葉の通じない人々」=「未開の人々」という兜を被り、
「誰のものでもない土地」=「自分たちの土地」という靴を履いて、
「理解できない文化」=「遅れている文化」という鎧を着て、
「自分たちが一番進んでいる」という楯を構え、
キリスト教/啓蒙/民主(資本)主義」という名の剣を持って、
世界を塗り替えていきます。
やがて世界はあれよあれよという間に西洋をトップとするピラミッド型の構造に組み込まれてしまいます。
ピラミッドの頂点に立つものを争って戦争が行われ、
ピラミッドの頂点に立つものは、違う言語で話しかけてくる相手を無視して、ハエを叩くようにして追い払いました。
話し合いを拒否されたものは、持ち前の謙虚さをでもって相手を調べ上げ、同じ言語を話そうと努力しました。
この、第二次グローバリゼーションの状態は20世紀末まで続いていました。


グローバリズムを象徴するインターネットの発達と共に、西洋のピラミッドはさらに堅固なものとなるはずでした。


ところが、21世紀に入り、ピラミッドの頂点に向けて下から砲火が放たれました。
その行為はテロリズムのレッテルを貼られましたが、実際のところは、ピラミッドを崩そうとする切実な一撃であったと思います。
また同時に、アメリカを中心にして張られたインターネットによって、実のところ、ピラミッド内部はまるで白蟻の巣のようになっていました。技術の発達に合わせて白蟻の交流は加速し、増加し、ピラミッドはいまや崩壊寸前です。


9月11日の一撃は西洋文明の行き詰まりも示していました。
崩れたビルが、世界貿易センターであったこともとても象徴的でした。
いままで自分たちでルールを作り、それを適応させていた西洋文明は、無理矢理東からのルールでもって話しかけられ、自分たちの無知に気づいた、と言ってもいいでしょう。


分かりやすく言えば、いままでトランプで遊んでいた西洋の人たちが、いきなり東方から来た人たちによって、麻雀大会に参加させられたようなものです。
これは、かつて自分たちが周辺国に向けてやってきたことを、逆にやり返されたようなものです。
そして、麻雀大会のほうがより有益であることにだんだんと気づき始めた西洋の人たちは、
いま、麻雀を学ぼうと必死になっています。


インドからヨガを学び、中国から気功を学び、日本から映像技術を取り入れ、インド・中国の巨大な市場の発展を脅威に感じながら、いま、ヨーロッパ(少なくともイギリスとフランス)は空前の「東洋をみならえ」の雰囲気に包まれています。


日本の皆さん、もし、まだ西洋を中心としたピラミッド型の思考回路で考えているなら、世界文化の最先端はいま東洋にあります。
ただ、蟻の巣だらけのピラミッドにいたところで崩れ落ちるだけです。
崩れる前にピラミッドから抜け出して、東洋でも西洋でもある場所で己を磨いてください。


アフリカあたりがあと100年くらいで偉くなるんじゃないかな。